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多文化共生の新時代
第19回2016.10.26
難民及び移民に関する国連サミット
2016年9月19日に、ニューヨークの国連本部で、史上初となる難民と移民の大規模な移動に関する国連サミットが開催されました。また、翌20日には、オバマ米国大統領主宰の難民サミットも開催されました。国連によると、2015年現在、国内避難民や難民など移動を強いられた人の数は6530万人、移民(外国生まれの人)の数は2億4400万人に達し、いずれも第2次大戦後最多となっています。
国連サミットでは,国際社会がかってない規模の難民や移民の移動に直面する中、難民のための人道支援の拠出、難民・移民への人道的な対応と人権の尊重、人道と開発の連携の促進、移民への教育や雇用機会の創出等について議論しました。サミットの最後には、「ニューヨーク宣言」を採択しました。
同宣言では、各国が難民支援の負担や責任をより公平に分担することや、難民の人権を保護することを確認し、強制労働や人身取引の被害防止を明記し、難民や移民に対する排外的な思想や差別にも立ち向かうことを強調しました。
今回の宣言で最も注目に値するのは、2018年に難民及び移民に関する国際的合意を採択することが謳われていることです。移民政策の代表的シンクタンクである移民政策研究所は、これからの2年間、国家主権と多国間主義の間での綱引きとなるであろうと予測しています。
今回の2つのサミットの主役は各国首脳でしたが、難民サミットと同じ9月20日に、ニューヨーク、パリ、ロンドンの3人の市長が、「我々の移民、我々の強さ」と題した共同のメッセージをニューヨークタイムズに発表しました。3つの偉大なグローバル都市の市長と同様に、国連に参加している各国指導者も多様性を受容し、包摂を推進することを訴えました。
なお、国連サミットにおいて、安倍首相は、日本がG7の議長国として、また「人間の安全保障」の提唱国として、難民問題に積極的に貢献してきたこと、そして、今後も、国際社会との緊密な連携の下、難民・移民問題の解決のために主導的役割を果たしていくことを約束しました。
U.N. Summit for Refugees and Migrants
http://refugeesmigrants.un.org/summit
Migration Policy Institute: Global Refugee Summits Offer Reasons for Both Disappointment and Hope
http://www.migrationpolicy.org/news/global-refugee-summits-offer-reasons-both-disappointment-and-hope
BILL de BLASIO, ANNE HIDALGO and SADIQ KHAN, "Our Immigrants, Our Strength," New York Times, 20 September 2016
http://www.nytimes.com/2016/09/20/opinion/our-immigrants-our-strength.html?_r=0
難民及び移民に関する国連サミット 安倍総理スピーチ
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0919summit_speech.html