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第12回2016.03.23

八尾市外国人市民会議

八尾市は大阪府の中央部東寄りに位置し、総人口268,972人(平成27年11月末現在)のうち、外国人市民が6,778人であり、市人口の約2.5%を占めています。外国人市民にとっても暮らしやすいまちづくりを進めるために、八尾市は外国人市民の意見を市政に反映させることを目的に平成23年より、「八尾市外国人市民会議」を運営してきました。筆者は平成25年より当該外国人市民会議の座長を務め、お手伝いさせていただきました。本稿では外国人市民の一人である私自身の感想を交えながら、八尾市外国人市民会議をご紹介したいと思います。

思い返せば、外国人市民会議座長役のご相談をいただいたのは3年前のことでした。今まで会議の委員としての経験しかなく、座長という大役の響きに結構プレッシャーを感じたのは当時の正直な気持ちでした。そんな私の不安を察知したかのように、八尾市文化国際課職員の方は「私たちは外国人市民が安心して話せる場づくりを大切にしたいです。事務局も全力で一緒に取り組んでいきますので、ぜひお引き受けいただきたいです。」と真剣な表情で話してくださいました。その思いがよく伝わったので、自分も一度チャレンジしようと引き受けさせていただいたのです。

この外国人市民会議は、外国人市民の生活の利便性向上と地域住民との共生、市政参画の推進や八尾市の多文化共生施策推進に関する事項について話し合い、会議の意見を市に提出しています。委員会は座長、副座長のほかに地元の実践者や各国にルーツをもつ外国人市民等、8名の委員によって構成されています。会議では子育てや教育、防災、医療、保健、地域生活など、毎回テーマを決め、話し合っています。また、「八尾市国際化施策推進計画」の計画期間が平成25年度をもって終了することから、平成26年度から平成32年度までを計画期間とする「多文化共生推進計画」が新たに策定されました。計画策定の段階から、外国人市民会議で八尾市多文化共生推進計画の内容、各課との連携、取組み状況の進捗管理、事業の評価方法等について議論し、委員からいただいたたくさんの意見が当該計画に取り入れられました。

正直に言えば、年2、3回だけの開催で、現状を大きく変えるのは現実的に不可能です。もっと言えば、様々な壁を抱えながら地域で生活する外国人市民の現実問題はすぐに解決できるとは思えません。しかし、このような外国人市民会議があることは、委員にとって生の声を行政に聞いてもらう大切な場でもありますし、行政にとって外国人市民の本音が聞ける貴重な学びの場でもあると思います。何より、「外国人市民の声に耳を傾けよう、できることからやっていこう」という八尾市文化国際課職員の皆さんの真摯な姿勢がうれしいです。それがこの3年間、私自身の感想であるとともに、委員の皆さんも肌で感じていることだと思います。様々な会議の設置や計画の作成といった仕組みの整備も大切ですが、立場を超えて心が通えるコミュニケーションと信頼関係は何より人の心に響きやすく、大切だと思います。外国人市民会議のほか、地域で少しずつ多文化共生の取組みを広げている八尾市ですが、これからもとても楽しみです。