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第51回2011.06.22

移民統合政策指標

今月初めに、英国オックスフォード大学日本研究所で開かれた日本とイタリアの外国人政策に関するワークショップに参加し、日本の外国人政策について報告しました。会議後、ベルギーに移動し、ブリュッセルにあるマイグレーション・ポリシー・グループ(MPG)というヨーロッパを代表する移民政策の研究所を訪ねてから帰国しました。

 実は、先月には、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校でも、日米の移民受け入れを比較する会議が開かれており、欧米諸国と日本の移民政策の比較への関心が高まっているのかもしれません。

 欧米諸国の間では移民政策の比較が頻繁に行われており、さまざまな政策対話が進んでいます。そうした取り組みの一つとして、今注目されているのが、ブリティッシュ・カウンセルとMPGが開発した移民統合政策指標(Migrant Integration Policy Index)です。この指標が初めて用いられ、国際比較のデータが公表されたのが2004年で、EUの15カ国が参加しました。2回目となる2007年にはEUの25カ国とノルウェー、スイスさらにカナダが参加しました。そして、2011年2月に3回目のデータが公表されました。

 今回は、ブルガリアとルーマニアさらにアメリカも加わり、欧州29カ国(うちEU27カ国)と北米2カ国が参加しました。具体的には、7つの政策分野(労働市場の流動性、家族の再結合、長期滞在、政治参加、国籍取得、反差別、教育)について、200項目を超える政策指標を設け、数値化しています。その結果、総合的な評価では、スウェーデンが1位となり、ポルトガルが2位、カナダが3位となりました。4位以下は、フィンランド、オランダ、ベルギー、ノルウェー、スペイン、アメリカ、イタリアとなっています。英国、フランス、ドイツといったEUの主要国は上位10カ国に入っていません(英国とドイツは12位、フランスは15位)。

 この指標を日本にあてはめるとどうなるのか興味深いところです。

<参考URL>

University of Oxford Nissan Institute of Japanese Studies
Workshop on Comparing 'Late-Comer' Immigration Countries: Japan and Italy
http://www.nissan.ox.ac.uk/events/workshop_on_migration_to_japan_and_italy

UCSD School of International Relations and Pacific Studies
Conference on Immigration at the National and Local Level
http://irps.ucsd.edu/media-center/conference-materials/japan-immigration/ucsd-conference.htm

Migration Policy Group
http://www.migpolgroup.com/

Migrant Integration Policy Index
http://www.mipex.eu/