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第47回2011.02.23

第3のグローバル人材?

この数ヶ月、大学生の就職率の低下や就職活動の長期化が話題になっています。就職率の低下の理由として、景気動向の影響もありますが、大企業志向の学生と労働力不足の中小企業というミスマッチの存在が指摘されています。また、企業が新興国など成長する海外市場で活躍できるグローバル人材を求めているのに、学生が内向き志向になっているというミスマッチも最近、注目されています。海外進出に力を入れる大企業は、日本の大学で学ぶ外国人留学生を積極的に採用するだけでなく、中国やインドなど海外の有力大学の学生を直接採用する動きも目立ってきています。

 日本人学生の内向き志向は、アメリカなど海外の大学に留学する日本人の数が、近年大きく減少しているというデータでも明らかとなり、憂慮する声があがっています。こうした傾向に対して、政府が昨年6月に取りまとめた新成長戦略では、「海外への日本人学生等の留学・研修等の交流を30 万人」とする目標を掲げて、日本人学生等の海外経験を増やすための取り組みを強化することを謳っています。政府は2008年度に「留学生30万人計画」を掲げて以来、大学等における外国人留学生の受け入れを推進してきましたが、2011年度予算では、日本人学生の海外派遣を支援する取り組みを強化するようです。

 グローバル時代に活躍できる人材を育てるために、外国人留学生の受け入れに力が注がれ、続いて、日本人学生に関心が広がってきたわけですが、実は、日本にはグローバル人材の卵とも言うべき子どもたちが全国に10万人以上存在します。それは、外国出身の子どもたちです。

 これまで、外国出身の子どもたちは、日本語能力が不十分で、もっぱら特別な支援が必要な児童生徒と見られがちでしたが、学校教育における受け入れ体制が整備されれば、複数の言語や文化に通じた、まさにグローバル人材となりうる子どもたちといえます。特に、日本には、中国やブラジルといった21世紀の主役となっていくであろう新興国出身の子どもたちが大勢暮らしています。

 政府は、グローバル人材の育成にあたって、日本の大学で学ぶ外国人留学生や日本人学生への支援に力を入れるのと同じように、国内に暮らす外国出身の児童生徒の教育にも注目してほしいと思います。