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第35回2010.02.24

東京都地域国際化推進検討委員会

1月27日、東京都の地域国際化推進検討委員会が答申「地域に密着した効果的な情報提供のしくみづくり」を提出しました。同委員会は、「外国人もより住みやすく、活躍できるまちにするための重要な課題について具体的に検討するため」、2001年6月に生活文化スポーツ局長の諮問機関として設置されたもので、今回が7期目の委員会となります。これまで取り上げたテーマは、「外国人の防災」「外国人にもわかりやすいまちの表記」「外国人への効果的な情報提供」「災害時等緊急時の外国人への情報提供」「民間団体との連携・協働による外国人都民の社会参加の促進について」「「在住外国人のための効果的な防災対策について」です。筆者は5,6,7期に参加し、委員長を務めています。

現在、東京都内の外国人登録者数は41万人を超え、定住化が進んでいる状況の中、日本人も外国人も同じ地域の住民として互いに認め合い、共に地域づくりを担っていくための環境づくりと地域の実情を踏まえた情報提供体制の構築が重要であり、新型インフルエンザや地震を始めとする大規模災害に備えて、外国人への迅速な情報提供体制が喫緊の課題であることから、「地域に密着した効果的な情報提供のしくみづくり」について検討を行うこととなりました。

今回の答申のポイントとして、以下の3点を挙げることができます。第1に、東京都・都国際交流委員会・区市町村・国際交流協会・外国人支援団体が連携し、地域の特性に応じた情報提供を行うため、それぞれの役割を明確化することです。第2に外国人コミュニティやキーパーソンの主体性を尊重し、地域で活躍できる環境づくりで、具体的には、外国人コミュニティやキーパーソンとの連絡会の実施、研修会実施によるキーパーソンとしての役割の啓発、そして、自治会・町内会と外国人住民を結びつける働きかけを行うことが含まれます。第3に情報提供体制の拡充で、携帯電話等の機動性の高い媒体を活用した多言語での情報提供の促進と多角的な情報提供によるシナジー効果を生かすことが含まれます。

東京都は、全国の都道府県の中で最も外国人登録者が多く、人口全体に占める割合も約3%で全国一です。東京都は、都道府県として全国に先駆けて外国人都民会議を設置(1997~2000年度)するなど、以前は国際化施策に積極的に取り組んでいましたが、現在、都政における位置づけは必ずしも明確なものとは言えません。国においては、総務省が「地域における多文化共生推進プラン」を策定(2006年)し、内閣府に定住外国人施策推進室が設置(2009年)される中、東京都が今回の答申を着実に施策に反映し、全国の自治体のフロントランナーとして、多文化共生の地域づくりをリードすることを期待しています。

東京都地域国際化推進検討委員会 答申
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2010/01/40k1s100.htm