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第30回2009.09.24

多文化共生全国見本市

9月11日と12日に、滋賀県大津市にある全国市町村国際文化研修所(JIAM)において、第2回多文化共生地域会議「多文化共生全国見本市」がJIAMと多文化共生マネージャー全国協議会の共催によって開かれました。

この見本市では、北は岩手から南は熊本まで全国の自治体や国際交流協会、NPOなど17団体が、それぞれのブースで多文化共生の取り組みを発表するもので、ブースを出した団体スタッフも含めると、100名近い参加者が集まりました。

初日はブースでの発表があり、その後夕食を兼ねた交流会がありました。二日目は、参加者全体での意見交換会とパネル討論会が開かれました。パネリストは長岡市国際交流センター「地球広場」センター長の羽賀友信氏、多言語センターFACIL代表の吉富志津代氏と私が務め、コーディネータは多文化共生センター大阪代表理事の田村太郎氏でした。4人はいずれも多文化共生マネージャー全国協議会の理事です。

現在、外国人集住都市会議や多文化共生推進協議会といったブラジル人労働者の多い自治体が集うネットワークはありますが、それ以外の地域の関係者が幅広く集い、情報交換を行う場は少なく、JIAMの多文化共生関係の研修コースが数少ないそうした場になっていたといえます。

私は以前から、ブラジル人の集住地域だけでなく、アジア系ニューカマーの多い地域や特別永住者の多い地域、あるいは外国人が分散居住している農村部など多様な地域の間で、情報交換ができる場が必要でないかと関係者に訴えてきました。具体的には、各地の取り組み情報をデータベースとして蓄積し、閲覧できるウェブサイトを設け、また一年に一回は関係者が顔を合わせて、それぞれの取り組みを発表する会議のようなものをイメージしていました。JIAMがそうした場づくりのイニシアティブを取り、JIAMが母体になって生まれたNPOともいえる上記の協議会も加わって、今年の3月に第1回会議が開かれ、今回、無事に第2回の会議も開かれました。

総務省が「地域における多文化共生推進プラン」を策定したのが2006年3月で、その後、全国の都道府県や政令市など多くの自治体において、多文化共生の指針や計画づくりが進みました。指針や計画ができて、いよいよ具体的な事業を進める今こそ、各地の自治体や国際交流協会、そしてNPOなどの間で、情報や意見を交換し、互いの経験を共有し、そこから事業の改善を図るニーズが高まっているといえます。

今回の見本市でブースを出した団体は国際交流協会とNPOが中心でしたが、ブラジル友の会(岐阜県美濃加茂市)とおうみブラジルアミーゴの会(滋賀県近江八幡市)という2つの外国人自助グループと古井地区多文化共生推進座談会(美濃加茂市)という地域住民グループ、そしてグローバルコンテンツ(大阪市)という企業も参加しました。今後は、そうしたグループや自治体の参加が増え、できれば関係省庁も加わり、多文化共生社会づくりにかかわる多様な担い手が集う場になることを願っています。