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第27回2009.06.24

国勢調査と移民統計

米国の民間シンクタンクであるグローバル発展センター(Center for Global Development)が、5月末に「移民は重要な存在である―よりよい国際移民データのための5つのステップ」と題した報告書を発表しました。国際移民に関する統計の不備は、移民、受入国そして送出国に利益のある政策を立案することを妨げると訴えています。

報告書は、各国の国勢調査が出生国、国籍国そして1年あるいは5年前の滞在国に関する質問を含むべきであると主張しています。センターでは、2010年前後に行われる各国の国勢調査について、出生国や滞在国に関する質問が含まれているか調査を行い、その結果をランキング形式で発表しました。

世界48カ国・地域の中で、最高のAランクとなったのが、カナダ、オーストラリア、マルタ、トンガ、サモアとクック諸島でした。一方、Bランクとなったのが米国やフランス、コロンビア、ペルーなどで、Cランクとなったのがカンボジア、イラン、メキシコなどでした。そして、最低のFランクのグループには、エジプト、エチオピア、マウライ、フィリピンとともに日本が入っています。カナダやオーストラリアのような移民国家として知られる先進国だけでなく、途上国の中にも最上位にランクされる国があるのが印象的です。

日本の場合、国勢調査に出生国や滞在国に関する質問がないことのほか、外国人登録者統計にも改善すべき点があります。例えば、在留資格別内訳において、「日本人の配偶者等」を見ると、この在留資格は、日本人の配偶者と日本人の子どもが対象となるため、国際結婚した外国人配偶者(主にアジア出身者)数と日本人移民の子どもであるいわゆる日系人2世(主に南米出身者)の数が混在したデータとなっています。また、各データの男女別内訳も不足しています。グローバルな人の移動の活発な現在、よりよい外国人政策のために、日本も関連統計の整備を進めることが望まれます。

*グローバル発展センターの報告書については、以下のサイトでダウンロードできます。
http://www.cgdev.org/content/article/detail/1422145/