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第17回2008.08.27

文部科学省

2008年6月末に、文部科学省の「初等中等教育における外国人児童生徒教育の充実のための検討会」の報告書が公表され、全国の都道府県に送付されました。同検討会には、浜松市と三重県の教育委員会担当課長や小中学校の外国人児童生徒担当教員、大学の専門家、企業関係者などが参加し、昨年9月以来、9回の審議を行い、報告書をとりまとめました。
 文科省が外国人児童生徒教育に関する検討会を設置したのは、初めてのことです。同省では、報告の主なポイントを以下の3点にまとめています(初中教育ニュース95号、2008年8月18日)。

(1)外国人の子どもの就学状況に関する調査の定期的・継続的な実施や教育委員会と地域のボランティア団体等との連携による就学相談・就学案内の実施など、外国人の子どもに対する就学支援方策
 (2)外国人児童生徒の日本語指導に関するガイドラインの開発や外国人児童生徒の指導にあたる教員や支援員等の確保・養成など、学校における適応指導・日本語指導の充実方策
 (3)外国人児童生徒も含めた子どもの居場所作りや地域の日本語教育の推進など、地域における外国人児童生徒教育の推進方策

私が今回の報告書で特に評価している点は、外国人児童生徒の日本語能力の測定方法や外国人児童生徒の体系的かつ総合的な日本語指導のガイドラインの開発と日本語指導の能力に関する資格・認定制度の在り方の調査研究が含まれている点です。
 一方、外国人児童生徒の受け入れの意義として、多文化共生社会の形成が明示されなかったこと、また、公立学校における受け入れに焦点をあわせ、外国人学校を含めた外国人の教育全体を見通したものになっていないことが残念です。
 なお、文科省は、2008年8月1日に、「日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況等に関する調査(平成19年度)」の結果を発表しています。これは1991年度から行われているもので、2007年9月1日現在、日本語指導が必要な外国人児童生徒数は25,411人で、前回から13.4パーセントも増加しています。文科省では、「本報告の内容を実現すべく、必要な事業の予算要求を行うとともに、都道府県や市町村、関係機関・団体に対し協力を求めるなどの取組を講じていく」ようですが、報告内容の一刻も早い実現が求められています。