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多文化共生社会に向けて

明治大学商学部教授 山脇 啓造 氏

第09回2007.12.20

外国人集住都市会議

2007年11月28日に、岐阜県美濃加茂市で「外国人集住都市会議みのかも2007」が開かれました。外国人集住都市会議は、日系ブラジル人を中心とした外国人労働者が多く住む都市の全国ネットワークです。

2001年5月の設立時に参加したのは、静岡県浜松市、磐田市、湖西市、愛知県豊橋市、豊田市、三重県四日市市、鈴鹿市、岐阜県大垣市、可児市、美濃加茂市、群馬県太田市、大泉町、長野県飯田市の13市町でした。以来、参加都市は少しずつ増え、現在、静岡県富士市、袋井市、愛知県岡崎市、西尾市、小牧市、三重県伊賀市、津市、長野県上田市、滋賀県湖南市、長浜市を加えた23市町となっています。

これまで2年ごとに座長都市が交代しています。2001・2002年度は浜松市、2003・2004年度は豊田市、2005・2006年度は四日市市で、2007・2008年度は美濃加茂市となっています。ほぼ2年に1回、参加都市の首長が揃う会議を開き、そのたびに国への政策提言をまとめています。日本政府の外国人政策は、ここ1,2年の間に変化の兆しが見えますが、外国人集住都市会議は日本の外国人政策形成を後押しする最大の推進力になっているといってもよいでしょう。

2001年11月の「浜松宣言及び提言」では、参加都市が共生社会の形成をめざすことを宣言し、国に対して教育、社会保障、外国人登録の諸制度の見直しを求め、2002年11月の「14都市共同アピール」では、「外国人受け入れ及び在日外国人に係る基本方針をまとめ、省庁間の政策を総合的に調整する組織の早期設置」を要望しました。2004年10月の「豊田宣言及び部会報告」では、労働・コミュニティ・教育の3部会がそれぞれ提言をまとめ、2006年11月の「よっかいち宣言」では、外国人の子どもに焦点を絞った政策提言を発表しました。

外国人集住都市会議が政府の政策形成に影響力を発揮するようになった理由の一つに、内閣府が受け付けている規制改革要望の仕組みを2005年11月から利用していることがあります。提出された要望は、内閣府の規制改革・民間開放推進会議(2007年1月から規制改革会議)の答申に反映されるようになり、同答申は国の規制改革計画として閣議決定されています。また、最近では、国会の各種委員会で与野党の議員から政府に対して外国人集住都市会議の提言に関連した質問が出されています。

今回の「外国人集住都市会議みのかも2007」には11首長と総務省、法務省、文部科学省の担当課長が参加し、過去最高の600名を超える聴衆が全国から集まりました。今回の会議の最大の焦点は外国人登録制度の改革で、国に外国人住民台帳制度の創設を強く求めました。また、外国人児童生徒教育の基本方針策定を求める緊急提言も発表しました。

来年は、参加都市の首長が勢揃いする会議が東京で開催される予定です。政府も外国人登録制度と研修・技能実習制度を見直し、2009年の通常国会に関係法案を提出することを予定しており、外国人集住都市会議にとって重要な年となるでしょう。

外国人集住都市会議のウェブサイト
http://homepage2.nifty.com/shujutoshi/