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多文化共生社会に向けて

明治大学商学部教授 山脇 啓造 氏

第03回2007.06.27

在日外国人の現状

先月、法務省から2006年末の外国人登録者数の統計が発表されました。外国人登録者の総数は208万4919人で過去最高を更新し、日本の総人口1.6%を占めています。日本の総人口は10年前からほぼ横ばいであるのに対して、外国人登録者数は約1.5倍となっています。在日外国人は旧植民地出身者とその子孫からなる特別永住者(主に韓国・朝鮮人)及びそれ以外の外国人に大きく分かれますが、後者に限れば過去10年で倍増となっています。戦後しばらく在日外国人の大半が韓国・朝鮮人でしたが、1990年代以降、多国籍化が急速に進んでいるといえます。国籍別に見ると、韓国・朝鮮(29%)、中国、ブラジル、フィリピンの順となります。来年は、初めて中国が韓国・朝鮮を上回ることになりそうです。

外国人登録者数を在留資格別に見ると、特別永住者(44万人)と一般永住者(39万人)を合わせた数が全体の4割を占めています。近年、一般永住者が急増しています。2006年末の外国人登録者総数は前年から4%増でしたが、一般永住者は13%増となっています。おそらく、来年は初めて一般永住者が特別永住者の数を上回ることになるでしょう。

非永住者の中では、「定住者」と「日本人の配偶者等」(それぞれ13%)が一番多くなっています。永住者及びこれらの非永住者、さらに「永住者の配偶者等」を合わせた138万人(66%)は、在留活動の制限がなく、実質的に移民といえます。こうした外国人の定住化傾向は、国際結婚の増大からもうかがえます。日本人の婚姻件数の5.8%(17組に1組)が国際結婚のカップルで、その8割が日本人男性と外国人女性(中国、フィリピン、韓国・朝鮮籍が84%)の組み合わせとなっています(2005年)。

2006年の外国人登録者数の在留資格別データで、他に特徴的なことは「研修」(7万519人)で、前年から3割も増大しています。最近、外国人研修生をめぐる様々な問題が起きていますが、その背景の一つといえるでしょう。「就学」(3万6721人)も、前年から3割も増大しています。就学生というのは、日本語学校で学ぶ学生を指します。就学生は、在留資格認定の審査が厳しくなり、2004年、2005年と減少していましたが、政府が留学生受け入れに積極的なことから、また増えていきそうです。

外国人登録者数を都道府県別に見ると、最も多いのは東京(36万人)で、全国の18%を占めています。以下、大阪、愛知、神奈川、埼玉、兵庫、千葉、静岡、岐阜、京都の順となっており、上位10都府県で全国の7割を占めています。