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コラム

一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会 代表理事 島田 由香

2023.03.22

「ウェルビーイングな働き方と日本の未来」

 本年、去る2月18日に「テレワーク・ワーケーション官民推進協議会(以下、官民推進協議会)」が正式に発足致しました。観光庁と総務省が中心となり、関連府省庁や自治体、関連有識者、企業、関連団体と共に準備検討会を開催し、1年に渡り議論を重ねた上で実現した協議会です。準備検討会から関わってきているメンバーは全員が、テレワーク・ワーケーションの効果とその可能性を信じており、ここからアクションを体現していこうと設立総会は和歌山県白浜町にて開催となりました。
 近年、テレワークやワーケーションは、働く場所や時間の自由度を高める観点で、働き方改革や企業の経営課題への対応、地方創生等に資する取組として期待されています。私個人としても特にワーケーションには格別の思い入れがあり、企業ならびに自治体にその導入を心の底からお勧めし、導入に向けた具体的なアドバイスをしたり、地域におけるワーケーションを実施する人(以下、ワーケーター)を増やす活動を積極的に行っています。
 大袈裟に聞こえるかもしれませんが、ワーケーションは日本の未来を変えると考えています。なぜなら、ワーケーションによりワーケーターのウェルビーイングが上がるからです。ウェルビーイングとは良い(well)状態(being)を意味し、「幸せ」とか「継続的幸福」と訳されます。『他人との比較ではなく、主観的に自分のことを"いい感じ、いい調子"と思えること』と私はその定義を伝えてきています。ここには健康である(心身ともに)ことはもちろんのこと、毎日の暮らしや仕事の中で自分のことや周囲の環境にポジティブな気持ちを持っている状態であることが含まれています。私は、ウェルビーイングな人たちを増やしたい、ウェルビーイングな人たちで世の中を埋め尽くしたい、そんな社会を作りたい、それをみんなでやりたいと思い、昨年11月に一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会(以下、PCW: Promotion Council for Well-being)を設立しました。すでにウェルビーイングを体現され、ウェルビーイングな日本を作ることに前向きに挑戦している皆さんに理事になっていただき、それぞれの得意分野・専門分野を活かしながら連携し、日本のウェルビーイングの底上げを、特に地域における活動を中心に行なっていくのがPCWです。
 ワーケーションでなぜウェルビーイングが上がるのかは、ポジティブ心理学創始者のマーティン・セリグマン博士の提唱するPERMAモデルでしっかりと説明することができます。PERMAとは博士の20数年にわたる研究の結果見出された「ウェルビーイングを高める5つの要素」の頭文字を合わせた言葉です。

 ウェルビーイングが上がるのは、自分なりにポジティブな感情を感じている時、集中し夢中になっている時、人間関係がよく、自分のやっていることに意義や意味を感じ、達成感がある時であることがわかっています。ワーケーションは日常の仕事よりもPERMAを感じられる瞬間がより多くあります。特に自然の豊かな地域でのワーケーションは、見えるもの聞こえるものが違い、空気も水も食も美味しく、新しい出会いに満ちた非日常であること、また一人の時間を過ごせるケースが多く、自己との対話の機会が増えることで本当の自分と繋がりやすくなり、パーパス(自分がその仕事をやっている理由や生きている目的)に気づきやすくなります。
 ウェルビーイングが高い人は、仕事のパフォーマンス(生産性・成績)も創造性も高くなることがリサーチの結果わかっていますので、ワーケーションに送り出す側の企業にもメリットがあることは容易に理解できると思います。ワーケーションで訪れる人が増えるほどその地域には経済効果のみならず、新たな人流やイノベーション創出の点で地域活性に期待が持てることが想像できるはずです。
 日本の未来には地域の活力が欠かせないものであることを、すでに多くの人が気づいています。地域活性のキーワードはまさに「ウェルビーイング」です。実は私が最も大切だと考えていることは、ワーケーションに加えて地域の自治体職員の皆さんのウェルビーイング向上です。住民の方の幸せを最も大切に考え、地域の発展に貢献したいという高い志とともにそのお仕事に従事されている自治体職員の皆さんに、私はいつも感動と尊敬の念を感じます。その皆さんが日々PERMAを感じ、ウェルビーイングが高くあることは結果として住民の皆さんのウェルビーイング向上につながります。誰かを幸せにしたかったらまず自分から。ウェルビーイングは自分ファーストです。自治体職員の皆さんには本当にウェルビーイングな働き方をしてほしいと思います。そのために、首長をはじめとする管理職と言われるリーダーの皆さん、そして議員の皆さんのウェルビーイングがとても大切です。ウェルビーイングは伝染しますから、是非これを読んでくださっているあなたから始めてください。毎晩寝る前に1日を振り返って、その日PERMAを感じた瞬間を思い出すだけです。これだけでウェルビーイングが上がります。
 ウェルビーイングの高い自治体、ウェルビーイングの高い首長・リーダー、ウェルビーイングの高い議会、ウェルビーイングの高い住民、ウェルビーイングの高い地域、ウェルビーイングの高い社員、ウェルビーイングの高い企業、ウェルビーイングの高い家族・・・こんな日本を一緒に作っていきませんか?
 この2月には「和歌山Well-being Month」をPCWにて企画・主催させていただきました。のべ680名の方が2/12-19に展開しましたイベントやセミナーにご参加くださり、その9割以上の方がウェルビーイングが上がったとアンケートにご回答くださいました。3月は福井県高浜町で住民の皆さんとウェルビーイングについて語り合う「ウェルビーイング広場」を、しあわせ人口1000万ウェルビーイング先進地域の富山県にて「富山ウェルビーイング会議」を開催いたします。PCWは日本各地のウェルビーイングを上げにどこにでも参上いたします。是非お気軽にお声がけください!そして前述の官民協議会にて私は副会長を務めさせていただいています。すでに40を超える自治体の皆さんにメンバーになっていただいています。是非皆さんとも同協議会でさらにウェルビーイングな働き方を一緒に推進していけることを楽しみにしています。