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コラム

株式会社 宙 代表取締役 栗栖 佳子

2022.04.27

「コーチング+アンガーマネジメントを取り入れた扇型のリーダーシップ」

「部下が指示待ちになっている」「部下との信頼関係の築き方が分からない」「伝えたいことが上手く伝わらない」このような悩みを抱えているリーダーが増えてきました。これは価値観が多様化し、変化のスピードが速い現代では、従来の「ティーチング型」の人材育成や「ピラミッド型」の組織運営では結果が出ない時代になってきたからです。そこで、部下のやる気や能力を引き出し自律性をサポートする「コーチング」と、怒りの連鎖を防ぐ「アンガーマネジメント」、更に一人一人がリーダーシップを身に付け心理的安全性の高い職場づくりに役立つ「扇型の組織」をご紹介いたします。
リーダーのコミュニケーション次第で、人が変わり、組織が変わり、人生が変わります!
上質なコミュニケーションスキルを身に付けて「部下の才能を伸ばす人」になってください!

■「コーチング」は管理職の必須スキル
今リーダーに求められるのは、自分の価値観を相手に押し付けるのではなく、お互いの価値観の違いを認め合いながら部下の「成長をサポート」し、「自分を超えるような部下を育てる」人材育成能力を身に付けることです。コーチングがすべてではありませんが、コミュニケーションのバリエーションを増やすことで、上司自身がコミュニケーションの苦手意識やストレスから解放され、自信を持って組織運営や人材育成に取り組めるようになります。

★「ティーチング」は上司が持っている「模範解答=知識やスキル、ノウハウ」を部下に教え与えることで、基本的な学習や緊急事態には大変役に立ちます。しかし、上司から部下への一方的なコミュニケーションが続くと部下は次第に受け身(指示待ち)になり、上司に対して模範解答を欲しがる(依存する)ようになります。上司が持っているものしか教え与えていないので、上司を超えるような人材を育てることができません。
★「コーチング」は目標を達成するために必要なものはすべて「部下の中にある」と信じて、部下の「やる気や能力、可能性や自主性、行動力」を引き出し、自分で考えて行動する「自主性」を促します。双方向のコミュニケーションでたくさんの気づきやアイディアが生まれるのでコミュニケーションが楽しくなり、「人としての心の在り方や考え方」を学ぶことで人間力やリーダーシップが身に付き、上司を超えるような人材育成に役立ちます。
上司が部下のコーチとして伴走型のマネジメントを行うことは、部下の成長や組織の活性化に限らず「上司自身のマネジメント力の向上」にもなります。また、上司が「コーチングスキル」を活用して積極的に部下の話に耳を傾け部下の課題解決と目標達成を支援する「1on1ミーティング」などに活用することで「組織の意識改革や風土改革」にも活用できます。

心理的安全性の高い職場風土に欠かせない「アンガーマネジメント」
アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで自然発生的に始まった怒りの感情を上手にコントロールするための心理教育です。アンガーマネジメントが目指すのは「怒らないこと」ではなく、「怒る必要のあるときは上手に怒れ、怒る必要のないときは、怒らなくてもすむようになること」です。怒りの感情は「防衛感情」と言われ無くすことはできませんし、仕事やスポーツのモチベーションにもなります。アンガーマネジメントで相手に伝わる「怒らない伝え方」を身に付けると、「怒りに対する耐性」が強くなり、怒りの感情と上手に折り合いをつけられるようになります。怒る目的は「相手の成長を願って、意識と行動を改善してもらうこと」です。
アンガーマネジメントで①自分を傷つけない ②他人を傷つけない ③モノを壊さないという3つのルールを学ぶことは、「ハラスメント対策」や「心理的安全性の高い職場作り」にも効果的です。「怒りの連鎖を断ち切る」ために、組織全体で取り組むことをお勧めします

■覚えておきたいキーワード「6秒」
多くの人は「誰か」「何か」「出来事」が自分を怒らせている理由だと思っています。しかし怒りを感じるのは、自分が信じている「~するべき」「当然」「当たり前」が裏切られた時です。強い怒りも軽い怒りにも「怒りが持続するピーク」があり、その時間は「6秒間」です。
この6秒間に反射的な行動をせずに、何とかやり過ごすことが怒りの連鎖を断ち切るコツです。「アンガーマネジメント診断」をオンラインで受診し、自分の怒りの傾向や特徴を理解することも、セルフケア―の一つとして大変役に立ちます。

次にアンガーマネジメント研修で取り組む内容をご紹介いたします。

■怒りの4つの特徴
怒りの特徴を知っておくことで、上手に自分をコントロールできるようになります。
①怒りは高い(強い)立場から低い(弱い)立場へ流れる ②怒りは伝染しやすい ③怒りは身近な人ほど強くなる ④怒りはモチベーションになる!!

■問題となる4つの怒り 
アンガーマネジメント診断で自分の怒りの感情を分析し、意識と行動の変化に役立てます。
①怒りの強度が強い ②怒りの頻度が高い ③怒りの攻撃性がある ④怒りの持続性がある

■4つの悪い叱り方
ハラスメント対策として、組織全体で学び合うことが重要です。
①機嫌で叱る ②過去を持ち出す叱り方 ③原因追及をする叱り方 ④強い表現を使う叱り方

■具体的な「怒りの連鎖」のイメージ   (株式会社宙のHPより)

■ピラミッド型から扇型の組織へ
特定のリーダーが指示命令で組織全体を動かしていく「ピラミッド型の組織」から、メンバー1人1人がリーダーシップを身に付け、全員で組織をゴールに向けて動かしていく「扇形の組織」への転換が求められています。コーチングとアンガーマネジメントを活用し、部下のやる気や能力を引き出し、働きがいとやりがいを実感できる組織作りにぜひ役立ててください。