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コラム

執筆者:Umehana Relations 代表 松原 美里

2017.04.27

"一枚岩のチーム"のための3つのポイント

 新しいメンバーでの新年度が始まり、少しずつ職場内のペースができてくる頃。一方で、情勢の変化に伴ってこれまでとは違った対応を求められることもあれば、返答に戸惑う場面、時に理不尽なクレームをぶつけられる場面もあるかもしれません。そんな風に心が揺れる時、当事者だけが抱え込むのではなく、背中を預け合い、お互いに知恵を合わせながら、新たなステージへと課題をつなげていく"一枚岩のチーム"でありたいですね。周囲がいかに耳を傾け、支え合い、知恵を出し合うことができるかが、その後の結果を左右します。新年度のこの時期に、職場内の絆を深めるポイントについて、考えて行きましょう。

1.居場所を創ること

 職場の絆を深めるための土台としてまず取り組みたいのが、個人それぞれが「ここに居ると安心する。」「ここに自分は必要な存在なのだ」と思えるような居場所創りです。
 「え?そんなのあるよ」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、これはただそれぞれが自分の仕事を遂行していればできるものではありません。
 意識の焦点を一緒に働いている「人」へと向け、「~ができるから○」「~ができないから×」といった評価判断ではなく、仲間として無条件に受け入れ、認知する(その人のいいところ・素敵なところを認めて、知らせる)ことが大切です。
 具体的には、お互いの顔を見ながら、一人ひとりに挨拶をしていくこと。返ってくる声に耳を傾けること。情報の共有や声掛け・たわいない雑談を通じて、お互いへの安心感や信頼感が自然と感じられる関係作りをしていくことです。人は不安が和らぎ、安心感が高まると心に余裕が生まれ、未知のチャレンジへと腕を伸ばす土壌ができます。
 一方で、ここが固まっていないと心の病になる人やモチベーションが低下する人も現れます。

2.お互いを知ること・違いを楽しむ

 職場には様々な人がいますが、人はそれぞれその人の育ってきた環境・出会ってきた人・相手から受けた影響......など個性があり、意見にも違いがあります。仕事をしていく上で、それらは時に面倒だなと感じる場面もあるかもしれませんが、「ちがいは豊かさ」。ちがいを受け入れ、視野を広げることで、様々な視点を学ぶ機会になります。私たちはどうしても、自分の価値観や思い入れなどによって物事の見方が偏ってしまうことがありますが、物事は多面体。チーム内のちがいに耳を傾けることで受け入れる器が大きくなり、地域住民から寄せられる様々な声にも冷静に耳を傾けることができるでしょう。
 仕事を効率的に進めていくことも大事ですが、実はお互いの個性が分かった方が抜群に仕事が楽しくなります。細かな記憶が苦手な人もいれば、やり取りや時系列の出来事をすべて覚えることが得意な人もいるかもしれません。歴史に関してはあの人!という人もいれば、整理整頓はあの人、と頭に思い浮かぶ人もいるかもしれません。
 メンバーはどんなことが好きか?得意なことは?どんな話題だと嬉しそうな顔をするのか?~などなど、普段のやり取りや雑談を通して耳を傾けてみましょう。あなたにとっては苦手で時間がかかることが、実はある人には簡単にできてしまうということもあるのです。「あの事なら、○○さんが詳しいよ」とお互いを認め合う関係性にもつながります。いざ!という時の心強いお助け人にお互いがなれるよう、一緒に働く仲間へ興味・関心のアンテナを立てておきましょう。

3.正論よりも、理想の未来を描く

 職場には様々な人が存在し、価値観や立場が異なることによって、時に対立が起こることもあるのではないでしょうか。意見がぶつかり合った時に、どちらかが我慢をしてどちらかの意見が通る......ということが重なっていくと、職場内に不満が蓄積していきます。
 それでは、どうすればいいのでしょうか?
 人はそれぞれ自分なりのベストを尽くしていますし、それぞれの正論を持っています。立場や背景が変われば目に映る"正しさ"は変わるもの。今、目の前の利害や事情に目を向けると深みにはまっていきますが、"正しさ"をぶつけ合うのではなく、それぞれの気持ちは受け止めた上で、視線を「全員にとっての理想の状態」へと向けてみましょう。
 Aさん・Bさん・Cさん・Dさん―――それぞれの「こうなったらいいという理想の未来」を共に語り合う中で視点を引き上げると 問題や課題がつながり合って構成されていることが見えてくるのではないでしょうか。
 物事には様々な側面があります。ここからは、「理想の絵」へ向けてそれぞれの立ち位置から課題を一つずつ解決していくための"共通の課題"に変わっていきます。声を掛け合い、進捗状況を伝え合う中でヒントが見つかることもあるでしょう。
 変化の激しい世の中。これから災害も含め、予測もしえない事態が起こるかもしれません。
 そんな時に子どもからお年寄りまで地域に暮らす人々を支えるものが、私たちの日々のやり取りの中から育まれる絆と、職場内のチームワークです。身近な仲間内はもちろんのこと、職場を越えた地域とのつながり・地域住民との日頃の信頼関係こそが、お互いを助ける心強いネットワークとなります。そのためにも、身近なかかわりから始めていきたいですね。