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第16回2008.07.23

愛知県の取り組み

前回、2007年末現在、愛知県の外国人登録者数(22万2184人)が大阪府を抜いて、初めて全国2位となったことをご紹介しました。実は、法務省の発表資料には含まれていませんが、もう一つの「逆転」があります。愛知県の総人口に占める外国人登録者の比率(3.02%)が、わずかながら東京都を抜いて全国1位となりました。

愛知県は外国人登録者が多いだけでなく、近年、多文化共生分野におけるフロントランナーとなっています。愛知県は2002年度に多文化共生モデル事業への助成を始め、2003年3月に策定した「国際化推進プラン」で外国人との共生を施策の柱に位置づけ、2004年3月には三重県、岐阜県、名古屋市に呼びかけて、「多文化共生推進協議会」を立ち上げ、同年11月に3県1市による「多文化共生社会づくり推進共同宣言」を策定しました。

2006年4月に地域振興部国際課に多文化共生推進室を設置してからは、多文化共生の取り組みが加速しています。総務省の「地域における多文化共生推進プラン」(2006年3月)策定を受けて、2006年度に「多文化共生社会づくり推進会議」を設置し、同会議は2007年3月に多文化共生施策の体系的・計画的推進を求める報告書を提出しました。それを受け、2007年度には「多文化共生推進プラン検討会議」を設置し、2008年3月に「多文化共生推進プラン」を策定しました。

プランは基本的に総務省のプランに沿った内容となっていますが、特筆すべき事業として、日本語学習支援基金の創設と外国人労働者の適正雇用などを進める憲章の普及があります。基金事業は外国人の子どもの日本語学習を支援するために経済界の協力を得て、今秋からスタートします。一方、憲章は岐阜県、三重県、名古屋市と共同で2008年1月に策定し、企業が労働関係法令を遵守し、外国人労働者の日本社会への適応促進に協力することを求めたものです。愛知県は日本の製造業の中心地であり、日系ブラジル人を中心に多くの外国人労働者が働いているだけに、企業との連携に力を入れていることがわかります。

愛知県が2007年4月に全国の自治体に先駆けて「多文化共生センター」を県国際交流協会に設置したことも注目に値します。センターには多文化ソーシャルワーカーが配置され、多様な課題を抱えた外国人への支援を行っています。多文化ソーシャルワーカーとは、外国人相談者が抱える心理的・社会的な問題に対して、本人のみでなく家族やコミュニティなどにも働きかけることにより、相談から解決に向けた支援を行う専門家を指し、愛知県では2006年度から養成講座を開いています。

今月上旬に、多文化共生推進協議会(現在、愛知、群馬、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀の7県と名古屋市が参加)が国の各省庁に「多文化共生社会推進本部」の設置などを求める要望書を提出し、新聞各紙で報道されました。今後も、多文化共生社会づくりのリーダーとして、愛知県から目が離せません。