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JIAM情報ひろば

第75回2009.09.24

第2回多文化共生地域会議~多文化共生全国見本市~ 開催報告

 9月11日(金)・12日(土)全国市町村国際文化研修所にて第2回多文化共生地域会議~多文化共生全国見本市~を開催しました。この会議は、(特活)多文化共生マネージャー全国協議会(通称:NPOタブマネ)の主催、全国市町村国際文化研修所(JIAM)が共催で実施しました。NPOタブマネは、「多文化共生マネージャー養成コース」修了者である「多文化共生マネージャー」の有志が集まって発足したNPOです。
今回の地域会議では、受講生・ブース発表者・関係者・他のコース受講生等100名近い方たちが会場に集まり、熱く多文化共生社会について意見交換がされました。ここでは、当日の様子を一部ご紹介します。

<日程>

9/11(金) 14:20~15:00 開講式・発表者一言アピール
15:00~17:00 ブース発表
17:00~17:30 全体質疑応答
9/12(土) 9:25~10:35 団体発表報告、来場者との意見交換
10:50~12:00 パネルディスカッション

 今回、全国各地から多文化共生の取組をしている自治体・国際交流協会・NPO・外国人自助グループ等様々なセクターから17団体の皆様に「多文化共生全国見本市」のブース発表者としてお集まりいただきました。実は、当初はこちらからお誘いしている団体も含め、10団体程度だろう、と考えていたのですが、いざ募集をかけると、「発表したい」という団体の数が予想を大きく上回りました。
 初日は、17団体が9つの教室に分かれ、それぞれプロジェクターを使用したり、壁一面に模造紙を貼って来場者に説明するなど、様々な形式での発表がありました。
 例えば、大学と共同で外国人住民の実態調査を実施する団体、保健福祉センターと協働で外国人住民の家庭訪問や情報提供を実施するなど地域ぐるみで取り組んでいる団体、地域のゴミ拾いやペットボトルのキャップ運動などのボランティア活動を通して地域社会との繋がりを持つ日系ブラジル人による自助グループ、そして、留学生を交えて地域の多文化共生に関する事業を行う団体など、それぞれ地域に密着した事業を行っており、他の地域にとっても非常に参考になる発表ばかりでした。

 また、時間内に、全てのブースを回ることができない参加者のためにも、15分程度で発表するための部屋を設けました。8団体が発表しましたが、常に報告ブースでは部屋の外まであふれるほどの人がつめかけていました。
夕食を兼ねた交流会後も再び戻って、発表者・受講生問わず参加者同士で意見交換をしているブースもいくつかあり、意識の高さと今回の会議の盛況ぶりを伺うことができました。

 翌日の団体発表報告やパネルディスカッションでは、会場からの質問が多く飛び交い、パネラー対フロアだけでなく、フロアの参加者同士での意見交換がされるなど情報共有が多く行われました。

また、パネラーからは、多文化共生を地域で広めるために大事なこととして、次のような発言もありました。例えば、学校を巻き込む方法を考えたり、無関心層を見えるようにすることが大切である。小さなことからはじめ、顔が見える関係になれば、それが共有化され実感を伴う体験となり、やがてそれが協働になる。また、協働というとき、1対1ではなく、多対多というように企業や外国人住民、地域住民など様々な関係者(マルチステークホルダー)を交えて行うことが必要であるなどです。

受講生からの主な感想は次の通りです。

  • 地域の住民のパワーやさまざまな団体との連携、協働の実例であり、時間をかけてこつこつと実践していく大切さを改めて感じました。
  • それぞれの地域での行政などとの連携のしかたをお聞きできたのでとても参考になりました。
  • 「多文化共生」=「地域づくり・人づくり」というブース説明者の方の言葉がすごく印象的でした。一人ひとりがひとりの個として、今あるそのままでいいんだという観点=「多文化共生」であるとも言われました。人権に関るすべてにつながることだと思いました。参加できてとてもよかったです。
  • 各地域や団体において様々な問題点もあれば解決策もあることを教えて頂きました。帰ってできるだけ多くの方にシェアして私たちの活動に生かしていきたいと思います。


-事務局から-

 今年3月に「雇用危機を超えて考える多文化共生のあり方」と題して第1回を実施しましたが、今回は、テーマを絞らず、成功例だけでなく失敗例も含めて各地の取組事例を共有することで、参加者間のネットワーク作りの場とすることをねらいとしていました。また、時期を少し早めて各団体が次年度の事業計画をたてる9月に開催した、というのもポイントです。普段は、机・いす・ホワイトボードのみの教室も発表団体の展示資料や参加者間の活発の意見交換等のためでしょうか、この2日間は非常に賑やかで華やかな空間となりました。1泊2日という短時間で凝縮されたプログラムでしたが、どの参加者も真剣且つ活き活きとした表情で意見交換をする様子をみて、参加者間でのネットワークが広まったように思います。
 また、テーマ設定や今後の開催方法など、発表者や参加者から参考になるご意見を頂きました。今後、全国各地、地域で活躍する方達のため、より実践的になるような会議にしていきたいと思います。

(JIAMメールマガジン第75号掲載(2009.9.24発行))