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第36回2010.03.24

浜松市

2010年1月、浜松市は外国人学習支援センターを設置しました。2005年の旧浜松市と11市町村の合併前に町役場だった建物を使ったもので、延床面積は2500平米を超えます。センターはこの建物の1階に入り、2階には南米系外国人学校ムンド・デ・アレグリア(準学校法人)が入居しています。センターでは、日本語講座、日本語を教えるボランティア養成講座、多文化体験講座そして公立学校教員等を対象としたポルトガル語講座を事業の柱に位置づけています。

浜松市は、人口約82万人の3.6%(約3万人)が外国人である全国有数の外国人多住都市として知られています(2010年1月現在)。特に在住ブラジル人は1万5千人を超え、全国一です。

浜松市にはスズキやホンダなど輸送機器メーカーの工場が多く、1990年代にブラジル人労働者が急増しました。市は1991年に企画部に国際交流室を設置し、国際交流協会(1982年設立)を財団法人にするなどして、ブラジル人の増加に対応した取り組みを始めましたが、当時はまだ多文化共生の観点は弱かったといえます。

浜松市の多文化共生の取り組みが本格化するのは、2001年に「世界都市化ビジョン」を策定し、「共生」を「国際交流・協力」と並ぶ施策の柱に位置づけてからでした。また、都市間連携を重視し、南米系日系人の多い他の自治体に呼びかけて、2001年には外国人集住都市会議を設立しました。以来、多文化共生分野の自治体リーダーの役割を担っています。

浜松市の多文化共生の推進拠点となっているのは、2008年7月に国際交流センターを引き継いで設置された多文化共生センターです。情報提供・相談コーナーとセミナールームを設け、国際交流協会が管理運営を担っています。多文化共生センターでは、外国人市民のための多言語による生活相談を始め、多文化ソーシャルワーク研修や地域共生自治会会議など、様々な取り組みを行っています。今回、外国人学習支援センターという新たな拠点が設けられ、浜松市の取り組みに勢いがつくことになりそうです。

ちなみに、先月、浜松市にあるNPO法人「浜松NPOネットワークセンター」が、2009年度の国際交流基金地球市民賞を受賞しました。同センターは1998年より多文化共生事業に取り組み、教育、医療、アートを3つの柱に、様々な団体や人々をつなぐ「ネットワーカー」を目指しています。「コミュニティ・アート」の手法を取り入れ、路上演劇祭、大壁画や映像の制作なども実施しているのがユニークです。

多文化共生社会づくりの先頭を走る浜松市から目が離せません。